回帰(to tell you the truth)
むらさき

あー 肉なんて焼かないでそのまま生で食べたい
両手で掴んでむしゃむしゃと立ったまま食らいたい

そこら辺に生えてる草も食べたい
元気そうな深緑を引きちぎってむさぼりたい

服なんてもう着ない 
パンツも脱ぎすてて
ブラジャーも燃やしてしまおう!

すっぱだかになって
誰もいない大海原を走りまわりたい
枝に燃える火だけを手に

古くなったまつぼっくりを踏んでみたい
河原の冷たい黒石を足でつまんでみたい

たまには四つんばいになって
両手両足全速力で
峰山を駆けめぐりたい
いのししに間違われるぐらい

一番高い杉の木にも登ってみるんだ
そこから海を見てみるんだ

髪ももうとかさない
風に溶けていくままに

そばかすも 唇のほくろももう隠さない

生まれたての顔だ! あたいの顔だ!

あー もう言葉なんかも使わないもんね
忘れちゃったよ あいうえお

ムカついたら取っ組み合いのケンカして
髪ひっぱって 頬つねって ギャー!

嬉しかったら抱きついて顔中にキスしよう
にやにや ただ笑っていよう

おトイレなんかもね そこたら中でしちゃいますよ
巨大な岩の上で 熱い砂の上で

もうトイレでする とかじゃなくて 
なんてったって地球全体がトイレだからね

陣地取りゲームだ マーキングだ 〇×ゲームだ
欠けていく月を見ながら 
地平線を指でなぞりながら

そして うーん 寝るときだって
一千万の星が落ちてくる
だだっ広いすすき野原で 

仰向けに倒れこんで

ゆっくり気を失っていきたい

ゆっくり気を失っていきたい










自由詩 回帰(to tell you the truth) Copyright むらさき 2006-02-06 15:32:11
notebook Home 戻る