不透明な ものたち
落合朱美
酸性雨が降り
森が枯れて
花は身じろぎもせず
こっそりとあぶくを吐く
内なる情念を
笑った眉尻にはりつけて
澄んでゆく
影
道草が過ぎたので
傘をなくしてしまった
雨にうたれた場所から
透きとおってゆく
とこしえにつづく空の果てから
春はそろりとやって来たけど
出逢ったとたんに
うずくまって震えていた
この緑色の髪が
いけないのかもしれない
自由詩
不透明な ものたち
Copyright
落合朱美
2006-02-05 22:58:01縦