銀塩に映る明と暗
maumi

カラダとココロの半分を
分解したとて
バラバラに動く心臓は
舐めたプラスのネジのように
右にも左にも
動かずに死んだ片隅

手を伸ばしたとて
動かない腕に
針を刺して痛感したくても
針を握る手すら役にも立たない

生きる上での器の大きさも
入れる絵の具水の濃度でさえ
自在に替わる油では
幾を見て応えることも出来ない

沈む太陽が焦がす土は
ヒステリックに裂いた
着物のように破れ
その姿を陽炎と呼ぶのか
そのようにカラダを晒してみたい

いっそ晒してしまえば
気も楽になるだろうに

落ち込む陽の暗さと
銀塩に写りこむ顔の明度は
嫌味な中間色
接触した初めての衝撃となるだろう

この意味さえ無意味に聞こえる

そのことの願いは

手を伸ばしても
届かない
掴みそこねたサラリとした
君の腕を
忘れることなど
出来るものではないのだよ


自由詩 銀塩に映る明と暗 Copyright maumi 2006-02-05 21:33:22
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