君の名前
まほし
詩のフレーズを思いついたとき
メモをする
ひとつひとつの言葉を
忘れてしまっても
メモをスッと取り出せば
鉛筆を走らせたときの息遣いまで
いきいきと蘇えるように
私の生活にも
たったひとつだけ
心のポケットにしまっている
メモのような言葉がある
それは、君の名前
一人のときも
二人のときも
心のなかで
あるいは声にして
君の名前を呼んで
その次に
うれしいことや
かなしいことや
言葉にならない物語さえも
重ねていって
そしたらある日
君の名前の影で
失いたくない風景が
何ページも何ページも
スケッチされていることに
気づいたの