習慣
和歌こゆみ
あのひとからの手紙を
今朝もポストのうしろにしゃがんで待っていた
つらくはない
もう毎朝の行事だから
ご飯を食べて 歯を磨くのとおなじこと
眠りの浅かった夜があけると
いつもどうしてか孤独
昔 食事をした男の人に
「恋人なんて,いてもいなくても寂しいですよ」
といったら驚かれた
その時の顔はわすれない
待ち望んだものがかなえられたことに
すぐ気が付くような自分になってみたけれど
戸惑いは日ごと増すばかりだ
そんな自分をかわいがり
手懐けるのにも慣れてきた
ハイヒールの靴で歩くのも
ずっと上手になった
どんな道を辿ろうと
結局変化は避けられないのだ
望みが叶うこと自体奇跡
それに比べたら
噂もやっかみも処理するのはたやすい
今日は久しぶりに気温が低くて
寒がりなあの人のことが心配だった
元気でいてくれたらいいとおもう
どうやら恋をしているみたいだ