時間〜その1
黒田康之

背伸びをする君に
降りかかる粉雪のような時間が
私の足元にはいつも堆積している

鬱蒼とした木立の中に
降りそそぐ冬の日差しのような時間が
私を背面から
ぐさりと刺して
ずるりと通り過ぎる

私の面貌の
少し淀んだ瞳のような
やや腫れている瞼のような時間が
この澄んだ灰色の雪空に拡散してもう止め処がない

私が君を見ているほんの間に
遥かの彼方から飛来して
私を飛翔させるような時間よ
君の眼差しの奥の奥から
私をひそやかに眠らしめるような時間よ

私は今君らである

鬱蒼と林立する
この朝の人の群れに棲む
私に訪れる時間よ

私は既に明らかに君たちなのである


自由詩 時間〜その1 Copyright 黒田康之 2006-02-04 19:08:24
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