なにもかも狂ってしまった
炭本 樹宏

 なにもかも狂ってしまった

 まず 
 僕の頭が狂ってしまった

 そして
 犬が政治家になり
 たぬきうどんが跳ね回り
 タンスはものまねをはじめ
 財布の中にあったコンドームが勃起し
 サイズの合わない帽子が僕を誘惑し
 物足りない部屋の人形がケタケタ泣き出したりして
 勉強の出来ない不良が整形手術をうけ逮捕され
 慰めのない詩がおしりにできて
 白鳥が湖でワルツを踊り
 みんなの目の色が毎日変って
 取り止めのない落書きが大災害をもたらし
 期待していた夕食に友達の丸焼きが出てきて
 アメリカ行きの飛行機は間違って月にまで行って
 ワールドカップで日本が優勝してしまい
 カードゲームをしていたら突然身体が石になり
 終わることのなかった太陽の運行はめんどくさいとやめになり
 立場を失った校長がセーラー服着て頬を染め
 僕の味方だった彼女は包丁をもって僕を刺している

 とにかく
 なにもかも狂ってしまった



自由詩 なにもかも狂ってしまった Copyright 炭本 樹宏 2006-02-04 02:04:45
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