にじみ
こしごえ

あの日の筆圧で
定着したインクが
原稿用紙の余白に
青くにじんでいた

その万年筆の字体は
水性の化石だった
硬質のにじみの層は
幾重にも連なったブレストーン

そこでは私の声もにじみ
青は白さにけがれている
すなわち通りがかった風は
化石となり
真実すら遠いめまいとなる

にじんだ星の光が
いまここに届く時
あの文字は届いたろうか
この空のもとの あなたへ




自由詩 にじみ Copyright こしごえ 2006-02-01 12:03:53
notebook Home 戻る