逆さに育つ花
maumi

道に道無く目隠しの子供が座る
目の前に落ちた小さな手に生は無く
大人より食べない子供が
大人に殺されるのは何故

僕の耳に届く幻聴の手紙を
聞こえない振りをして無感情に振舞う
掻きむしった傷跡に残る縮緬ちりめん
突きつけられた銃の先に温度の無い花
選択の余地もなく
乾いたタンっていう音が小さくなっていく

僕の肩に付いたアザ
僕の肩に付けられたアザは
本来の君のチカラで着くはずもなく
生きたいが故の執着のチカラ

倒れた君をみて
知らないはずの母をみる
母が作るパンは美味しかったと
彼が呟いたような気がした

配給のサンドイッチを食べる
パンにハムを挟んだだけの
味気もない薄いサンドイッチ
この国の平和など
このサンドイッチのようなもの
平和の間に戦いが挟まれている
そこに揺れる花が唯一まともなのか
花屋に並ぶ値段のついた花は
誰の価値観なのか
花は花ではないのか
人は人ではないのか

種の皮をむしり
白い胚芽を握る

落ちていた空き瓶を拾い
蓋の底に種を貼る

逆さに育つ花
すべてを元に

これで幸せが来るだろうか


自由詩 逆さに育つ花 Copyright maumi 2006-01-31 20:54:22
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