黄昏アラベスク
まどろむ海月

黄昏時に 影が伸び
逢魔が時に まどろむと
冷たい風にさらされた

まかりいでたる 紅マント
不気味に微笑む白面に
口をふさがれ さらわれて
茜の空に 舞い上がる

夕焼け雲か 蜃気楼 
ピンクに輝く タージ マハル
ときめく調べに 誘われて
扉を開けると あら不思議
大サーカスの真っ盛り

白いピエロが 七人も
楽器を奏でて 踊り舞う
剣のお手玉 玉乗りに
火を噴く男に 綱渡り
空中ブランコ 曲馬乗り
猛獣使いの鞭が鳴り
ピエロの奏でる アラビアの
曲に合わせて ぴーひゅるる
虎にライオン 象に熊
絢爛豪華な 絹を着て
あやや おややと 踊りだす
背後の水面 盛り上がり
潮吹く鯨も 登場だ
空の轟音 驚けば
ゴリラの飛行機 宙返り

怪力男が鎖引き
駄菓子屋台が 舞台上
見慣れたお婆さん現れて
かぶりてぬぐい ほどいたら
この世のものとも思われぬ
なんてきれいな妖精か
屋台の駄菓子も いつのまに
ルビー サファイヤ エメラルド
オパール 真珠 金 ダイヤ
翡翠の杖が ひらめくと
宙に浮かんで 速さまし
至高の宝玉 惜しげなく
花火となって はじけ散る

すべての景色 色と成り
虹の形に 消えてゆく…

夕闇の風に さらされて
少年は目覚めた
耳に残る あの調べ
微かに空の彼方に漂って
少年は 丘を登る
走れ 走れ あの音が消えぬうち

丘の上で 見回しても 
  何もない… 
 いや 満天の !
 
 満天の 星空だ
   
   星空だ…





   







自由詩 黄昏アラベスク Copyright まどろむ海月 2006-01-30 22:02:05
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