僕のハッピィアワー
m.qyi


空おちる。はれも、ときどき。そら落ちる。PULL.

というのをパクッて

「!」: 空おちる。ハエも、ときどき。そら「!」落ちる。 m.qyi

というのを書いた。

これが詩になっているかどうかというようなことは僕は知らないし、考えたくはない。ハッピィなときには考えたくない。空は子供の時からよく見た。それから、実にいろいろな場所で見たのが空だ。まあ、僕の知る一番広い心が空だ。あと、空ってのはカラって意味がある。真空とかいうとカラッポの極限のようなものかな、静かな感じがする。静かな心は空だ。

広大な、からっぽの水の中を、ちいさなハエが唸って飛んでいく。ハエは気でも狂ったんだろうか、ういぃぃんと唸って一直線に飛んでいく。ハエも気違いになるとこういう飛び方が可能かもな。30メートルも飛んでみろ、たいしたもんだ。僕が1メーター60そこそこのハナタレだから、ハエの身の丈3ミリとしても、割り切れんな、530倍強。30メートルx530=15900メーター。ハエが300メートルも飛んでみろ、160キロだよ。そういうガイキチが上も下もない、左右もわからない空っぽの水の中をめくらめっぽう飛んでいる。キチガイが唸って。ハエなんて考えてみればどんなにぐにゃぐにゃに飛んでいても心はいつも真っ直ぐなのかもなあ。上下左右わかんないんだから。とにかく、ういぃぃんと唸って一直線に飛んでいく。
そしたら、空がおっこちたというんだから。
空が落ちたとしよう、ハエはいっしょに落ちてるんだろうか。じゃあ、ハエは落ちてないのか?
空はどっちに落ちたんだろう、ハエが飛んでいる方向にか、逆方向にか、びょぉおんとワープした感じかな、それともすうろおうもうしようおおおうむな感じがかな。
それとも、からっぽのアオソラを飛んでいたら空の屋根がおっこってきたって噺か?びっくり仰天、仰天だよ、ぽっかりそらの風穴が見えたって。空のむこうには何があるんだ?何かあるのか?
この線の想像で、一番面白いのは、つっぱしってたら、ハエタタキでぱっちーんと殺られマシタって噺し。あら、まあ。ご臨終の寸前に、このハエ、細い目を開けてみたのが青空で、(今まで自分が空をつっぱしってたなんてガイキチだから知らなかった)、その初めて見た青空が足元からすーっと真下に落ちっていったよう、どうしようかあと思いながら意識の底に自分が落ちていきましたという話、お花畑の上に。
お花畑なんて趣味が悪いや。
そんなところに逝く前に
だから、静かに死なせてやろうよ。
そういう心が、空だな。
すくなくとも、僕の。

その空がもともと在ったのか、たんなる想像なのか、それとも自分がそうこさえてしまったのかあるいはそうこわしてしまったのか、僕は知らないというか、考えたくもないけれど、そこに僕は生きている。ところで、自分で書いていて、ハエのこころが一直線は可笑しいなと思った、ぐるぐるぐにゃぐにゃわんわん飛ぶのが蝿だろう。これも、どんな飛び方にしたって、僕の空にはいっこう関係ない、蝿の空にもいっこう関係ないだろうし、そういうのが空で、空に僕のハッピィアワーはある。

これと同じで、

ぼくらの日常
犬がタバコを吸うくらい
それはとても平和だった(マーガリン猫)

というワンちゃんが好きだ。

さくらんぼは こどものくちから はなたれ(マーガリン猫)

というのが「放たれ」だったら何の幸せもない、そんなウソっぽい世界に僕は生きていたくない。

サクランボ子供の口から洟垂れ  m.qyi

さくらんぼがテカテカあかくみえるよ、おまえを、だきしめたくなるよ、冷たい手を握りしめてお前の鼻にキスしたくなるよ、赤いチェリーを忘れてしまい、涙がでるよ。


そんな風に放たれて、僕のハッピィアワーはひとりで踊りだす。



散文(批評随筆小説等) 僕のハッピィアワー Copyright m.qyi 2006-01-30 17:48:39
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