虚羽(うつわ)の天使 Ⅱ
木立 悟



雨が降りはじめた街のなかには
羽の生えたけだものがいて
黄金の子に首を抱かれて
しっとりとした息を吐き出している


すべて壊れたものに乗って
誰もいない街を走り
わずかに残った光の匂いを梳く
屋根にはじける雫の色が
街を空に近づける
遠い銀色に呼びかける


いつかねむり
いつかめざめる
ねむりの間に起こったことは
すべて壊れてしまうだろう
それでもめざめ
それでもうたう
すべて壊れたものに乗って
めざめの音はひびきわたる
空を越え
もうひとつの空にまで
翼あるもののかたちはひびきわたる





自由詩 虚羽(うつわ)の天使 Ⅱ Copyright 木立 悟 2004-01-28 19:04:00
notebook Home 戻る