没落
便乗鴎
玄関先ひっそりと
だけど凛々しく飾られている家族写真に
律儀に重なりあった肩と肩に
冬の、つめたい風がすきまをつくる
喧騒の朝という心地良い矛盾が今もう
耳の穴から
零
(
こぼ
)
れ枕を濡らす
七時半ですよ、と
聞こえてくるまで
はい、と間の抜けた返事をかえすまで
考えさせてくれないか 眠らせてくれないか
暖かい毛布のなか
もしも僕が起きてこなくてもなんども
時刻を告げてくれ
いつも寝ている間に没落してしまったから
自由詩
没落
Copyright
便乗鴎
2006-01-29 18:23:58
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