まとまった消しクズが僕を責めるから
時雨

イライラしているときに数学はどうも相性が悪いらしい。


あぁ、また間違えたと心の中でぼやきながら消しゴムを掴む。
消えていく数字の隣で、小さな濡れた染み。
キミがさっきまで此処にいたという何よりの証拠。
零した涙の跡だけ残し、今キミは此処に居ない。

数学を教えて欲しいと、そう言ったのはキミだから、
僕の教え方でわからないからって、あんな風に言うことないじゃないか、と。

そう、僕が悪いんじゃない。

消しゴムにまとまった消しクズをゴミ箱に捨てようとして、
なかなか消しゴムから離れない消しクズにムキになる。

まるで、僕を責めるようだと。

チクショウ、と小さく呟く僕の手はいつのまにかケータイを掴む。
覚えきった番号をゆっくりと押して、
今、キミに聞こえているだろう着信音を口ずさむ、
仕方がないから、僕からキミが謝るきっかけをあげよう、と。

そう、僕が悪いんじゃない。


まとまった消しクズが僕を責めるから。


自由詩 まとまった消しクズが僕を責めるから Copyright 時雨 2006-01-26 22:53:04
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僕の言い訳