虚羽(うつわ)の天使
木立 悟

 
ひびく
ひびく
音叉の雲から
はじまりの空へ
天使のかたちがひびきわたる


輪と共に陽は沈む
がらんどうの音がなりひびく
町のように大きなひとつの楽器に
鳥が集まり
奏者のない音を聴いている
はばたきを忘れ
鳥であることを忘れ
聴いている


春の影
春の薄い羽
土を 空を 貫く群れ
すべて壊れたものに乗って
虚ろな天使はひびきわたる




自由詩 虚羽(うつわ)の天使 Copyright 木立 悟 2004-01-27 23:57:35
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