いつも不機嫌な君へ
腰抜け若鶏

この世界への不満が顔中に出てるよ
生きてても何もおもしろくないって
ほら、その皮肉な笑いを浮かべる口元
そんなんじゃ男心はくすぐれないんだな

僕が君ぐらいの時は同じような顔してたよ
だから君に感情移入できなくもない
けど、君のために生きようって気にはならないな

僕の使い古しでよかったら
アイドルになる方法を教えるよ

まず人を頭に思い浮かべる時に
「こいつ」「あいつ」って呼ぶのはやめた方がいい
これからは「この人」「あの人」って呼ぶんだよ
とにかく謙虚になるんだ
「私はいいですから」「私なんか全然だめですよ」
本心から思わないとすぐ見抜かれるよ

そしてはっきりした自分の世界を持つんだ
こうだ!と決めたら必死でそれを貫こうとする
例え不可能でも君の必死な姿を見て人はグッとくる
好き!と決めたらとにかく全肯定
嫌な所が見えてもそれでもとにかく相手のために尽くす
そんな健気な君の姿を見てこれまた人はグッとくる

友人達からさえ浮くような特別な存在であれ
とにかく少しでも人より目立つ事が大切だ
ルックスは雰囲気とかで適当にごまかせばいい
そして周りの陰口は必然だから一切気にしない
その代わり奴らを見返せる特別なものを見つけるんだ
勉強でもいい、絵でもいい、歌でもいい
どうだ?お前らにできないだろうってものをさ
それを武器に孤独と劣等感に立ち向かうんだ

あと、
一番大事なのは相手を一方的に求めない事だね
求めれば求めるほど向こうは引いちゃうから
さっき言ったことを守れば黙って待ってるだけで
ちゃんと相応の獲物は側に寄ってくるよ
おびき寄せられて目の前ヒラヒラしてる所を
タイミングよくバクッとやっちゃうんだよ
そういう相手はあんまり食欲をそそらないから
僕はほとんど放置してるんだけどね

こうやって僕はファンをたくさん作ったよ
授業受けると必ず近くの席に座ってきたり
バスに乗ってると隣に座って話しかけてきたり
もう特別話す内容もないメールをだらだら続けたがったりね
今日も新しくまた一人ファンができたよ

今の自分が嫌いならためしてみるといい
今の自分が好きならそのままでもいいと思うよ
僕はあんまり好きじゃないけど


未詩・独白 いつも不機嫌な君へ Copyright 腰抜け若鶏 2006-01-26 20:06:05
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