「空」
hiyoku


今日があっという間に昨日になって

昼間の青空を思い出す

吹き荒ぶ北風はヒコウキ雲を
南へ南へと連れてった

息を止めてレンズ越しに見つめている間に

雲は遠くへ行ってしまった


学校をさぼって同じ空の下 ここにいる僕とあそこにいる君


届かない距離も吹き飛ばして、空は平等に僕等に覆いかぶさる


掴めそうで届くはずもなくて
見上げては 立ち止まる


いくら目をこらしても全部なんか見えなくて


あぁ、ただ、この空はきっと大昔から変わっていないんだって、
50年前もこの場所で、誰かがこうしていたんだろうなって、心がうずいた


今 この瞬間
世界中のどれだけの人がこの空を見上げているんだろうなんて センチメンタルなこと
本気で考えたよ


空は1つで
僕らに絶対的な繋がりを見せて

敵も味方も ないよ
全ては、青空の下 平等で


よくわからない
底抜けな希望が降ってくる気がしたんだ


北風はやまなかった
でも、何か全部、さ、


大丈夫だと言うしかないんだ
僕等は


追いかけ切れなかった空は青くて広くて何もなかった

僕と君を繋ぐ この空は

ただ


ただ、何もなかったよ。





自由詩 「空」 Copyright hiyoku 2006-01-26 20:03:27
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