僕はまだ歩けるよ
和泉 誠

冷え切った朝
空は透き通るように綺麗で
遥か彼方を眺めて
その空気を大きく吸い込む
実にすっきりと頭の中に入ってくるよ
それから僕は
ため息にも似た息を吐き出したんだ

そして考えたことは
いろんな問題背負い込んで
僕の体はずいぶん重たくなってしまったなぁ
もう自由に飛ぶことなんてできないかも

その力を失った新しいメロディー
つい昨日まで僕を励ましてくれたのに

心の中で変わらず流れるのは
未だに傷一つつかない悲しい別れの歌
それだけは完璧なんだ
ボロボロの僕の人生の中で

もう一度真っ正直に自分の人生歩けるかな?
夢とか奇跡を信じてさ
この手で必ず掴み取ってやるとか叫びながら

遠い夢が見えなくなったよ
君との約束叶えられないかも
だって現実問題
この世界と真正面からぶつかればさ
どうあがいても無理だって気がしてくる

でもさ
このメロディーは消えないんだ
僕の胸に変わらず流れてるんだよ
まだ可能性はある
まだ終われないだろ
このメロディーが流れている限り
そんな声がするんだ

これから先どうしようとか
どうやって前に進めばいいとか
そんな見通し全然立たないけれど

このメロディーが本物って気がするんだ
結局いつもここに戻ってくる
僕の大切なもの
信じるべきもの
守るべきもの

僕の人生の道しるべ
全然確かなものじゃないけれど
そんなの夢だろ?幻想だろ?

だってこのメロディーは輝いてるんだ
弱くて臆病でどうしようもない
そんな僕が手に入れた
明日を生きる勇気
明日を信じる希望

もし馬鹿にする奴がいるなら
誰にも笑えないようにするだけさ

そう
僕の旅はそっから始まった
また忘れてしまってたね
この旅の始まり
その目的

ゆっくりでもいいんだ
特別じゃなくていいんだ
かっこよくなくてもいいんだ
ただ毎日一歩一歩
刻んでいくんだ
確実に

よかった
僕はまだ歩けるよ

それがとてもうれしくて
雪の降る道
思わず一人駆け出してくよ
まるで子供みたいにさ


自由詩 僕はまだ歩けるよ Copyright 和泉 誠 2006-01-25 08:56:15
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