キャラバン・サライ
たりぽん(大理 奔)

熱砂の道を歩こうと
踏み出す先に砂漠はなく
求めた強さだけ
葡萄詰みの唄は遠ざかる

星座を大地につなぎ止めるもの
哈密瓜はみうりの蔓、祈りのこえ
流れ星の落ちる果ては
岩と砂に満ちて

無質量の粒子が導く燐光で
永遠の理論が未完成を完成する
それは蔓にからまる祈りににて
世界を僕につなぎ止め

状態量エントロピーの行方に抗うように
熱砂の道をたぐると
砂漠に似た深淵が
眼前で雪原に暗転する

 真冬には天山北路も
 雪に染まるだろう
 カナートの水も凍るだろう

つなぎ止めた
蒼白い星を編みながら
道は熱砂だけではないと
何度も、何度も思い

また今日も思い知るのだ






自由詩 キャラバン・サライ Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-01-24 22:49:43
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