キャラバン・サライ
たりぽん(大理 奔)
熱砂の道を歩こうと
踏み出す先に砂漠はなく
求めた強さだけ
葡萄詰みの唄は遠ざかる
星座を大地につなぎ止めるもの
哈密瓜の蔓、祈りのこえ
流れ星の落ちる果ては
岩と砂に満ちて
無質量の粒子が導く燐光で
永遠の理論が未完成を完成する
それは蔓にからまる祈りににて
世界を僕につなぎ止め
状態量の行方に抗うように
熱砂の道をたぐると
砂漠に似た深淵が
眼前で雪原に暗転する
真冬には天山北路も
雪に染まるだろう
カナートの水も凍るだろう
つなぎ止めた
蒼白い星を編みながら
道は熱砂だけではないと
何度も、何度も思い
また今日も思い知るのだ
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葡萄白書