白菫
松本 卓也

北風の声が少しずつ
冷たさを増す12月
いつもと同じ帰り道
佇むように咲いていた

小さな体いっぱいに
陽射しを浴びてのんびりと
場所を間違え根を伸ばし
季節を忘れて咲いていた

真冬の足音すぐ其処に
冷たい雨も身に受けて
それでも笑顔を浮かべてて
いつまでも此処にいるようで

雨雪混じる年暮れに
いつもと同じ帰り道
いつもと同じこの場所に
在り続けると信じてたのに

灰色覆う空の下
風も少ない1月の
いつもと同じ帰り道
初めから何も無いように

いつもと同じ帰り道
いつもと違うこの場所で
記憶に残る可憐さに
別れを告げて家路を辿る


自由詩 白菫 Copyright 松本 卓也 2006-01-21 02:17:27
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