冬空の輪舞曲
恋月 ぴの

ふたりは出会う
雛連れの野鴨憩う山郷の水面は茜に染まり
 

  ほら手をつなご
  これから暫くふたりして
  同じ水脈を流れ行くのだから


ふたりのささ舟は
透き通る冬の気象にたゆたゆと揺れ揺れて


  ほら手をつなご
  気まぐれな空っ風のいたずらに
  離ればなれとならぬよう


枯れ田に歩む白鷺は
時の深さを測るように寒空へ届く鳴声ひとつ


  ほら手をつなご
  かじかむ思いをしっかりと
  あたためあえるように


いつの日にか
つないだ手を離すときは訪れる
その時はふたり笑顔で
いつまでも手を振っていたいから


緩やかに感じる雲の流れも
見つめる瞳は闇と交われば静かの淵へ ふたり


ほら手をつなご


自由詩 冬空の輪舞曲 Copyright 恋月 ぴの 2006-01-18 07:13:30
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