手に、手に
霜天

それは主張する誰かのための
すでに去り際の匂いと聞いて
そこで僕らは降り止まない話を
目的も置き忘れた夢の覚める際を
緩み始めた自信とともに消費して
今日もまた柔らかい部屋に
柔らかい床に
ずぶり、沈み込んで
起こしてくれる手に、手に
すべてを預けて
僕らをなくし、て
そこからは、もう
炭酸の抜け落ちていく光、午後の
入れ替えたばかりの自転車で笑うように
仕事に出掛け
そのはずで
君の指先の速さは、抽選される一日の終わり方で迷い
振り向こうとした足はテールランプの
残像する足跡について行きたくて
臆病と
臆病と、言いだしては
笑っていかない君の横顔が残像する部屋で
柔らかい部屋で
夢の、覚める際を一つ飛ばしで消費して
最後に整頓される
冬にも


落ちていかない
上る空も来ない
眠りの直前に
散布されるため息に
震える手に
手に


自由詩 手に、手に Copyright 霜天 2006-01-18 01:23:05
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