歌と鳥かご
和泉 誠

自分のホームページを作るという授業があった
せっかくだから投稿している詩を掲載しようと思った

ハンドルネームはもう決まっている
特別な名前だから

ホームページを簡単な言葉で紹介しろと言われた
だから私は迷わずこう書いた

「詩を読んでさっきまで泣いていたのに急に笑い出した事はありますか?
 詩を読んで感動してぼろぼろ涙を流してうめき声をあげた事はありますか?
 私はそんな詩を作るために悪戦苦闘しています」

詩にうまい下手はたしかにあると思う
でも、一体誰の基準で?
あなたは誰の心を動かしたいの?

世界中の人の心を動かしたい?
私もかつては望んだ事
それに一体何の意味が?

私は私の心を動かしたかった
深い闇の底をはいずり回る惨めな自分に光を見せてあげたかった
そうでなければ私の人生はあんまりにも酷すぎた

どん欲で乾いた私の心はもっともっとと要求した
段々と味にもうるさくなってくる
だから私は自らの腕を鍛えた

そしてある時
自らの鍛えた腕を誰かに自慢したいと思ってしまった
これが私の不幸の始まり
これに一体何の意味が?
何の意味もない虚しいだけの王様ゲーム
その魅力に完全に取り憑かれてしまったんだ

そんな中で出会ったあの人は優しい笑みを浮かべながら
私の歌をもっと聞きたいと言ってくれた
だから私はあの人のために唄うことにした
その間虚しさなんて少しも感じなかった

けれど知ってしまった
あの人は私を鳥かごに入れて閉じこめてしまおうとしてる
だから私は必死になって逃げた

でも逃げた先に一体何があると言うの?
また王様ゲームをしたかったの?

まだあの人は私が唄うのを待ってくれている
私は今すぐにでも唄いたくてたまらない
でも、もう一度唄ってしまったら今度こそ

熱を出した頭じゃとても考えられない
今日の所はこれくらいにしてもう眠ろうよ
明日もいっぱい飛ばなきゃ


未詩・独白 歌と鳥かご Copyright 和泉 誠 2006-01-16 21:24:01
notebook Home 戻る