花監禁
千月 話子

理科教室のカーテンの陰
ビーカーに入れられた
子供の悪戯とクロッカスの球根
こっそりと 育つ日々



昼の太陽 夜の月
揺れる隙間から漏れる
光りの栄養を貪りながら
薄情な薄明かりの中で
美しい水を 夢に見る



マグネシウムを燃やしたら
綺麗な花が咲きました。

アンモニウムを煽ったら 
全ての花(鼻)が死にました。

そして 誰も居ないくなった・・・




忘れられた球根とビーカーの未花よ
世界の窓の片隅で小さな息を吐きながら
膨らんだ希望 膨らんだ夢
取り出して握ってみたら
心臓の鼓動のようにするのだろう
まだ 生きているので




いつか理科教室は廃墟へと

雨が降り 光りが降り
幸福になった片隅の・・・
子供が走る廊下だった場所で
ガラスが割れる音がする




ここに入りたいのなら
壊れたドアを開けてください。
優しい心根のあなたなら
もう 閉じ込めないでください。




短い悲鳴の後には
教室一杯のクロッカス
白い花 青い花 黄色い花
そして あなたの赤い髪飾りを


 入室許可証として
 







自由詩 花監禁 Copyright 千月 話子 2006-01-14 00:12:34
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