空の色が変わる程の
maumi

向日葵の花が燃えて
灰に変わるまでのあいだ
僕は目を閉じて
何を考えよう

銀の指輪をはめる役が
僕ではないと
シナリオの一頁で判っていた

舞台の隅で拍手をするだけの
小さい役どころ
手の震えは
緊張ではなく焦りだった

ミスを犯してまで
真中に出る勇気もない
もし出れたとして
ミスを犯した僕が
アドリブでごまかしたら
いびつなまでの
悲しい戯曲になっただろう

台詞はなくていい
華やかなライトもいらない
君に殺される役なら
どんな惨めな死に様でも
目に映るだけの死に方をしよう

空の色が変わる程の
絶望を見てくれたら
僕はその光を集め
この手の震えを止めることにしよう

その後のあなたとのシーンは
思い描けない
ただ向日葵の花が燃えて
灰に変わるまでのあいだ
悲劇をあなたに感じてほしい

何も感じないと言うなら
燃えているこの花を掴み
小さな芽を消してほしい
そしてあなたの手に
傷だけを残したい


自由詩 空の色が変わる程の Copyright maumi 2006-01-13 18:56:40
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