自己虫の寝床で
蒼木りん


しんしん降る

牡丹雪もみせてくれず

冬が寒いだけなので

心臓が凍りそうだ

身体中の血が冷たい

神経が

ピクッピクッとする

不快で寝返りを打つ

胸にカイロをあてるのを

思いとどまり

熱いお茶を飲むことにする

私の中には

毒がいっぱいなのだろう

夫の自慢話ばかりする

上司を思い出す

どんな話題も

自分の話に持っていく同僚を思い出す

人が好きなら

もっと他人を大切にしなさいよ

何をされたら

人はうれしいのか

お金がないから

言葉をかけます

思いやりっていうのも

いいでしょう

ただし

自己虫の私が出せるのは

寸志ぐらいのものですが

気がかりがふえるので

トイレに行くことにした

熱い水をたくさん飲んで

毒を薄めよう

冬が終わる前に

一度くらい牡丹雪にうもれてみたい

一月二日には

春の雨の気配を感じたから





未詩・独白 自己虫の寝床で Copyright 蒼木りん 2006-01-12 10:46:17
notebook Home 戻る  過去 未来