夜色

ベランダから見上げる夜に
存在しなかった
色彩は
どこにいってしまったのか

青も白も赤も灰も
全て飲み込んで

夜は静かに笑う


今日は星が見えない
そこに 雲が浮かぶ証明はそれだけ
黒く黒く黒く塗りつぶされて

輪郭をなぞりたかった指先
持て余してしまう


見下ろせば
街灯に照らされた樹
不自然にみどりを主張して

浮かび上がる
誤魔化して生まれた 
きれいな思い出


ぼんやりと
かすんで

とけていく
息だけが
ほんとうの白に染まって

空にのぼっていく


自由詩 夜色 Copyright  2006-01-11 22:33:10
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