5番目のドア
恋月 ぴの

日溜まりの青空でダンスを踊る君は
或る日
突然
斑模様の水面となって
5番目のドアを叩き続ける
まるでドラムのように
5番目のドアを叩き続ける
まるで魂の叫びのように

自分が何者なのか知っているのに
或る日
突然
君の魂はハリネズミとなって
世界中の怒りは我胸の内にありと
振り上げた拳を宙に震わせた
それでも自暴自棄にはならずに
それでも優しい心は失わなかった

日溜まりの青空でダンスを踊る君は
或る日
突然
悲哀の鼓動となって
5番目のドアを叩き続ける
とめどなく溢れる涙を拭いながら
5番目のドアを叩き続ける
思いのたけを伝えたいがために

緩やかに流れている景色の裏で
或る日
突然
潜流する抑えきれない感情が
積み重ねた日々の記憶を消し去り
青空の底へ ひらはらと
舞い落ちる言の葉で綴るのは

「さよなら」と「またいつの日か」



自由詩 5番目のドア Copyright 恋月 ぴの 2006-01-11 07:09:26
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