BANG!
The Boys On The Rock

友人のバイクの
後部座席
奥多摩へのツーリングの途中
立ち寄った駄菓子屋
なつかしの
銀玉ピストルを見つけた

彼は おもしろそうに
ピストルを手にして
銃口をぼくにむけた

ぼくは といえば
子供の頃 いじめっ子の悪ふざけ
不意に急所を握られたときに感じた 甘い屈辱感に
戸惑う面持ちで
両手を上げてフリーズ

「ば〜んっ!」
逆三角形の顎にまぶしい笑みが浮かび
くるりと
背中を向けた彼の
牛皮のつなぎで覆われた肉厚の背中は
まったくの無防備

おもむろにピストルを手に取り
さっきまで抱きしめていた背中に
復讐の銃口を向ける

だが
ぼくのピストルは火を噴くこと無く
すぐに
寝取られ男のようにうな垂れる
はじめから勝負はついているのだ

整理のつかいない自分の気持ちは
自分のこめかみに銃口をむけることで
解決するだろう

それは勧善懲悪の時代劇と同じく
結末の判っている起承転結
そして ぼくはむなしく引金を引いた


BANG!


自由詩 BANG! Copyright The Boys On The Rock 2006-01-08 14:56:00
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