月を喰らう夜
LEO

ガラスの窓に近づける
湯上り 頬が 体が
滴の残る 洗い髪が
外気をひろい
火照ったのを
冷ましてゆく

くもったガラスに
呼べない名 を記して

人差し指は
その名を容易く
刻むけれど
最後の一文字
その前に
追いかけるよう
水滴に消されて
名は読めない

呼べない名
読めない名
手の平で
全部を拭ったあと
ぽっかり窓に
おぼろな三日月

返らない返事を待って
遠い月にあの人を思えば
高鳴りにおされ
火照りは止まずに


自由詩 月を喰らう夜 Copyright LEO 2006-01-08 00:07:15
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