濁ったグレーの保護色
初代ドリンク嬢

雨が雪に変わってロマンティックな夜になる
という歌があったような気がする

北陸の片田舎の雨は冷たい
 
昨日から続いた雪が
遅い朝には
雨に変わった

ワイパー越しに見える女子高生が
寒そうな生足を出し
傘に隠れるように歩いている

目の前の横断歩道を
分厚いコートを着たサラリーマンが渡っていく

ねずみ色の町も
もうすぐクリスマスを迎えるから
趣味の悪いモニュメントが
薄暗さに華やかさを出そうと
あがいている

近くの豪邸には
屋根を越える2本の木と
プールがあるベランダあたりに
青と緑の電飾が飾られた
それは
300メートル先からでも見えるけれど
近くに行けば
塀に隠れて何も見えなくなる

美しくもない
むしろ
イライラさせる

町のねずみ色と
クリスマスの色は
水に浮く油のように
相容れず
その違和感が
イラつかせる

地球では
クリスマスに
様々な悪が行われる

それは
この違和感が作る
イライラのせいだ

だれも
私を見てはいない

雪から雨に変わった
くぐもった空気が
遮断する

ゆっくり動くワイパーに
私は消える

切り取られた景色のように
感じながら
薄気味の悪い
有線放送が耳に否応なく
飛び込んでくる

不愉快

不愉快にさせる
そのためだけに
赤と緑のいろんなものが
視界に入る

雨は雪に変わったから
そこには
趣味の悪い
いろんなものが
溢れて
雪の白さを汚すだけ

そして
私は
ただひとり
吐き気を抑えながら
悪態をつく


自由詩 濁ったグレーの保護色 Copyright 初代ドリンク嬢 2006-01-07 16:50:57
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