終わりの続き
石畑由紀子
箸を持って近づいてみたら
じいちゃんの骨はほとんど残ってなかった
焼き時間を間違ったんだって
ママとママの姉弟は泣き崩れて
火葬場の人は床につくくらい頭を下げていて
あたしは用事のなくなった箸をカチカチ鳴らした
みんな泣きながら両手で灰をかき集めて
箱に入れて儀式は終わり
じいちゃん
箱に入って終わり
終わり?
納骨堂では一足早く箱に入ってたばあちゃんが
嬉しそうに待っていた
じいちゃんは箱の中で
ずいぶん待ったかい? とか言ってるのかも
親子ほど歳が離れてしまって
少し照れくさそうに
漢字だらけの表札を並べて
家に戻ってもママとママの姉弟はまだ泣きやまなくて
市に抗議文を書くとか話してた
その夜あたしはずいぶんと深く眠って
夢も見なくって
その日以来 学校で友達に
ユッコってば急にじじくさくなったよって言われる