付箋ヶ原
黒川排除 (oldsoup)

山間部は雨ラジオから流れ部屋満たす

付箋ヶ原の風向き無記名逃げ場なし

つづりうつむく母親ノギスにも使える

出荷まつ木片に刷毛を差し向ける

影吊る梁よじ登るついのかわきに

下へ向かうエスカレーターに遺骨乗せ

不透明なる神の逃げ足かつぐ鰭

せつせつとゆきしずくたるふゆのふにたる

山積んで西と東は寺院の床

背後の機関に距離を保たれ長い旅程

レインコートただ濡らす彫刻刀を内部に隠し

外界流る生コン良い岩盤だトンネル掘ろう

盆地せがむ子まっくろに清書して

果ての草原苦のきわ煌々と虫を鳴らす

部屋冷ますより小さくすべき段階来る

日中輪郭削ぎ続ける狐を衒う

血を見れば寝姿を血に見返され

舌伝う街呼吸許さず


(ここから2006年)


ゆくわれとは別に落ちる日あり出勤

帳から溶岩流れ出ぬくい顎

雨が茎を折る重たい雨

ハンカチを振る火を振る投ずる

読書めがけてきる白い舵熱波のごとく

地球あかるむまで空洞は実施され


川柳 付箋ヶ原 Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2006-01-04 01:32:55
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