頌春歌
恋月 ぴの

初春のみずうみに映る景色を
刻々と塗り替えて
青かったり
赤かったりする

目一杯に膨らませた
君の頬を指先で弾けば
凍えた朝の軒先に
透き通った氷柱を見つけ

曖昧な気配の裾を払うように
冷たい空気が忍び寄り
いつの間にか辺りの景色を支配する

氷柱に感じる儚さは
小春日和の眼差しに身を震わせ
雫となったふたりの想いは
合わせ鏡の幻よ

恋は ルルルルル
春は来たりし
麝香の香りに差し入れた掌を
やんわりと逸らすように

かきあげた後れ毛
匂い立つ小春日和の眼差しは
戯れの予感と釣瓶落としの峠に発つ


自由詩 頌春歌 Copyright 恋月 ぴの 2006-01-03 10:51:12
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