いいよ。
天使

「ねぇ。このままどこかにいってしまう?」

どこからか聞こえてきたその声に

ふと我を忘れて追い求める僕。



ただその声のする方へ・・・ただその声のする方へ・・・


僕は導かれてどこまでもあるいてく。


「ねぇ。どこまでいってしまう?」


その言葉に

「どこまでも。」


と答える僕がいる。



「ねぇ。僕のとこまでくる?」


その言葉に

「君はどこにいるの?」


と聞く僕がいる。




「ねぇ。このまま消えてしまう?」


その言葉に

「どうして?」

と問う僕がいる。


「君は僕がどこにいるかわかる?」


その言葉に

「わからない。」

と答える僕がいる。





その声はすごく透き通って


まるで消えていくかのように囁く



「ねぇ・・・僕とずっと一緒に来てくれる?」


その言葉に

「いいよ。」

と言った僕がいる。


その言葉を発した瞬間・・・


僕は長い石段からゴロゴロと転がって落ちた。



体を打って 頭も打って


意識が飛びそうになる中・・・・・


「これで・・・ずっと一緒だね。」


っと誰かが耳で囁いた。





きっと僕が話していたのはずっと一人ぼっちだった幽霊だったんだろう。


さびしくてさびしくて・・・どうしようもなく・・・そして僕をみつけたのだろう。




君は不気味なほど うれしそうにして


僕のことをギュッと抱きしめてきた。














そして今日も 僕たちはさまよい歩き続けるのでした。




そして僕は最後の「いいよ。」の言葉を後悔することはありませんでした。






散文(批評随筆小説等) いいよ。 Copyright 天使 2006-01-02 17:26:16
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