人差し指
渦巻二三五
色褪せしカエルの背をなでやりつ人差し指はものひきつらす
日暮れれば花弁を閉ぢる花と知らず植ゑてよりわが昼は呪はれ
土くさき夜気につつまれ甦る記憶くるしくのびる根のごと
街路樹の根の垂れ下がる地下街で鉢植を買ふ夢を見てゐた
ダイレクトメールの宛名に付されたる番号われも数へられたり
己が性器片手でつかむことできるほどに男は簡潔なもの
銀色に染め上げし髪結はれをり鏡の向かうに器用な手ありて
ふり返りふり返り行く野良犬はどうやらわたしが産んだやうです
くちづけの上手なひとに恋したしその口に何つめてやらうか
知らぬ間に絞め殺されるかもしれぬけれども雨の午後は眠たし
二〇〇〇年五月 @nifty現代詩フォーラム