春待ち歌
恋月 ぴの

狭い檻の中に棲む
つがいの獣
明日を語らずに
今日を愚痴る


狭い檻の中で諍う
つがいの獣
嘲る口元には
朝餉の飯粒ふたつみつ


軋み合う魂より
産まれ出でし
いがみ合う狭間にて
育ち来たりし


口ずさむ言の葉は
無常への鎮魂歌
春を待つ白樫の根瘤に
葉付き蜜柑を供えて祈る


自由詩 春待ち歌 Copyright 恋月 ぴの 2005-12-30 08:40:50
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