騒音おばさんは本当にただの悪者だろうか。
和泉 誠

「引越し引越しさっさと引越し」
ご存知騒音おばさん。
マスコミに悪者として取り上げられてしまった
彼女の事を一人の人間として見る人は
今はもうだいぶ少ないと思います。

私が見た所、
マスコミはレッテルを貼るのが好きです。
それを使命と思っているのか、
そうする事で己の力に酔いしれているのかは知りません。

彼らは姉歯建築士が朝玄関から出てきて
出勤前に念のため財布の中身を
確認するシーンを故意に放映しました。

彼らは取り調べに疲れて思わず口にしたのであろう
「悪魔が乗り移った」というぼやきだけを
ペルー人の主張のすべてにしました。

見たまえ!
世間は私が動かしているんだ。
素晴らしいとは思わんかね?
見ろ!人がゴミのようだ!

話が大きくそれました。

騒音おばさんはどうやらこんな事を
言っていたらしいです。
「私は抗議する!
 この世界はどうなってるの?
 おかしいじゃない!
 これは私の抗議の声なの!
 ちゃんと裁判を前提とした!
 これは、私の悲鳴なの!」

私が思うに、
彼女はただ舌ったらずだったんです。
不満の感情を示したくても、みんなから馬鹿だと
言われる方法しか知らなかった。
あるいはできなかったんだと思います。
その理由は一体何だったんでしょう?

彼女のすべてを知ったとき、
あなたはそれでも彼女を笑えるでしょうか?
彼女が初々しい17歳の髪を結んだ色白の美少女で
なければ、あるいは笑うのかもしれませんね。

けれど私は、
その人のすべてを知ってしまったら、
その人を笑う事も恨む事も憎む事さえできないと
本気で信じています。

ニュースを見てると悲しくなります。
それが私のテレビを観ない理由でもあります。


散文(批評随筆小説等) 騒音おばさんは本当にただの悪者だろうか。 Copyright 和泉 誠 2005-12-27 14:26:03
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