春の旋律
銀猫

愛しいと綴らぬ代わり
速達で、と告げましょう

思い煩うこころに替えて
所在の分からぬ神様に
祈りましょう


微かに雪の匂いのする声は
幸福の理由に充分すぎて
零れる音色が
深いところに染みてゆく


銀色の板に刻まれた
これが
きみの声


結露した磨り硝子と
ストーブの陽炎が
背中に続いている
そんな温もり


漆黒の音符には
希望を隠しているでしょう?

Aマイナーの思惑は
舞い上がる羽根をなだめるコード進行

きみの奏でる愛の歌は
吹雪に萌えて
春を咲かせる


ありがとうの台詞は
速達にて

逸る想いは
タンポポの綿毛に乗せて

きっとお伝え致します




自由詩 春の旋律 Copyright 銀猫 2005-12-27 11:49:29
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