ゆきのおと
北乃ゆき

ゆうぐれすぎの
ゆきのなかを
かあさんと
あるいています

いえをでてから
ふりはじめたゆきが
もう
まっしろに
つもっている

どこまであるくのか
いつまであるくのか
ぼくには
わからないけれど

ただ
ただ
ゆき

ふるなかを
ふたりで
あるきます

ときどき
たちどまるかあさんが
かじかんだ
ぼくのてを
にぎりしめる
かあさんも
てぶくろをつけていないから
こおったてが
よっつ
かさなりあう

ゆきが
ふる
ゆき

ふる

まえをあるく
かあさんに
こえをかけても
へんじはなくて
ゆきだけが
ふりつもる

きしきしと
ゆき

かけわける
おと

する

しんしんと
かあさんと
ぼくの
かたに
ゆきがつもる
おと

する
 
きたみちも
ゆくみちも
なくて


ゆきの
おとだけが

きしきしと
しんしんと



自由詩 ゆきのおと Copyright 北乃ゆき 2005-12-26 01:11:55
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