きゃらめる 2
アンテ


                       きゃらめる 2

  たまご

  1

もしもし
だれかがよんでいる
こんこん
かべがふるえている
へんだ
わたしまだ
みみも
はだも
みかんせいなのに
かんじるわけ
ないのに


  2

ていねいに
からをむく
しろくて
なめらかなひょうめんを
きずつけないよう
つめをきりそろえた
ゆびで
からも
うすいまくも
ひとかけらものこさずに
はぎとって
はだかになったら
あとは
かじるだけ


  3

かしゃり
われるのは
たったいちど
かしゃり
きょうも
つぶやいてみる


  4

ほらよ
って
とつぜん
なげてよこすなんて
おとすべきか
とるべきか
それがもんだいだ
なんて
かんがえるひまもない


  5

たまごのかずだけ
みらいがある
にわとりのかずだけ
げんじつがある
はいはい
そうね
それよりはやく
あさごはんたべましょう


  6

いつか
ときがたてば
からがわれて
そとへ
でていくんだと
しんじてた
ひよこになれない
たまごが
あるなんて
しらなかった


  7

ころころ
さかみちを
ころがりおちる
ころころ
まっすぐに
すすめない
あっちへまがったり
こっちへまがったり
まる
じゃないから
ころころ
いしにぶつかって
かしゃり
われる


  8

あたたかい
みみをすませると
とくとく
こどうがきこえる
このまま
ずっと
ここにいたい
みらいなんて
いらない


  9

きいろ
あか
みずいろ
ひとつずつ
いろをぬる
しろいところが
すこしも
のこらないよう
みどり
おれんじ
むらさき
どれもおなじ
って
おもってるひとの
めくらまし


  10

かんがえごとをしてた
ぽすとにぎっしり
ゆうびんぶつがつまってた
かさがとんでいきそうになった
ちょうど
たくはいやさんがきて
だんぼーるばこをふたつおいていった
でんわがなりつづけてた
だいじなようをおもいだした
って
どれもこれも
ただのいいわけ
ぱっくのたまごを
もののみごとにわった
つみはゆるされない




自由詩 きゃらめる 2 Copyright アンテ 2004-01-21 02:13:37
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