北斗七星
アシタバ

破れ垂れ下がった灰いろの空
ちかくとおく恐慌じみた声楽が追い立てる
中身がすっかり空になったのは財布だけではない
傾ぎながら電飾のすり鉢のそこを通り過ぎた
それを寒風のなかから眺めていた
どのポケットからも
すずの音がすずろに響く
ほほ笑みがほほ笑むどの顔も
となりのとなりのまたとなりを経巡ってきたから
ほんとうではない
嘘をぬぐえばほんとうになるということはない
街角の男たちは北斗七星形に隊伍を組んでゆく
星辰の廻るにつれて
店から店をはしごしてまわる
昨日が永久に失われたあとの歓声
影だけが板壁の上
さびた釘に引っ掛かっている


自由詩 北斗七星 Copyright アシタバ 2005-12-23 23:02:43
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