今すぐ要求をのまなければ人質は死ぬ/2004
モリマサ公

「こんばんは今日も皆さんと一緒にポエトリーリーディングをたしなみたいとおもってやってまいりましたモリマサ公です。
 ひどい世の中ですね、傷ついた心を癒すため詩をかいても、書けば人を傷つける。そんな詩ばかり書いています。
 そんな中わたくしモリマサ公 実は今日みなさまにお願いがございます。
 今日のポエムは「日本語講座」のようなかたちで例文の部分をみなさんにリピートしていただくというシステムになっています。
 わたくしが「プリーズリピートアフタミー」といってから読み上げる例文をみなさまに繰り返していただきたいとおもいます。
「プリーズ リピートアフターミー」
「               」(モリマサ公)
「               」(みなさま)
 というかたちです
 もちろん国や宗教や人種もばらばらな方々がおあつまりになっているので参加はご自身で良くお考えになってください。
 心の中でくりかえしていただくのも大歓迎です。
 では
 お時間のほうはよろしいでしょうか」


「日本語で伝える カガイシャとしての大事なヒトコト ヒガイシャとしての大事なヒトコト」


道端でアメリカ合衆国の旗にくるまって明日を占う
身体化されない自由には撤退を要求
地上の大多数はセンチメンタルにぬかるみ
泣きはらした目のようにまっかっか
良質な約束をインターネットでながそう
コトバたちの安全装置を
ブラのホックみたいに外せばイイ
現実を喉の奥までぶち込んで威嚇する
ガラス窓のむこう側で世界はこちらをのぞきこむ
レディースアンドジェントルマン
プリーズ リピートアフターミー
「要求をのまなければ人質は死ぬ」(ご一緒に)
「              」
オーケイ
泣くな 体の正面でトリガーがひかれる
床に開く穴
ぱんぱんぱん
地表をおおう肌という肌が打ち抜かれていく
ゆっくりと天井からおちてくる水
ぽたん
ぽたん
ドゥーイット
頭の中で声がする 命令に従う
アイキャンノットチョイス
アイキャンノットチョイス
アテンションプリーズ 
仲間たちを解放しろキャッシュとヘリを用意しろ
今すぐ要求をのまなければ
人質は死ぬ
リピートアフターミー プリーズ
「日本に帰りたいです」
「         」
オーケイ
両親は過労でたおれている
田舎に帰ると妹にののしられる「このうらぎりものが」
てゆーか自分が誰なのかわかりましたか
てゆーかここではなにがおこっているのかしら
ただ逃げ惑うだけの人の群れが重なりドミノだおし 
だれかのための花束で世界が埋めつくされていく
プリーズ リピートアフターミー
「何度も言うようだけどあんたなんか生まなきゃ良かった」
「                         」
「ですからわたしとやっぱり一緒に死んでください」
「                      」
「だってあたしがお兄ちゃんのお嫁さんになるんだもん」
「                        」
オッケー
空一面にマルかバツが表示されています
ココロがきたないのでみえません
誰が誰なのかわかりません
どれが天国ですか
アクションってだけのノンフィクション
あびせる ってだけの返り血 かりそめなイナウト  
あらゆる角度から 全開ってだけの画面たち
のぞきこむ瞳の全てにかかるエフェクター ファック
みちばたでくばられたポケットティッシュの白みたいなハタ ファック
最新のリアルをオレたちは必死でダウンロードする あたしたちはすばやく送受信する 
でもそれは待ちうけ画面ですか
ですよね K田さん てゆーか
自分が誰なのかわかりましたか
てゆーか そこではなにがおこってるのかしら
おれ今生きてるの超楽しいわとか わたし毎日死んじゃいたいとか 
あたしはあんたの理想の母親じゃないわとか がたがたさわぐんじゃねえ
アテンションプリーズ
これが最後のおねがいだから だからいうことを よく聞け
「ここに5キロのプラスチック爆弾がある」
プリーズ リピートアフタミー
「今すぐ要求をのまなければ人質は死ぬ」
「今すぐ要求をのまなければ人質は死ぬ」
オーケイ

誰が誰なのかわかりません
どれが天国ですか           












「傷ついたココロを癒すのはポエムでしょうか
 誰かの立場に立ってなにかを癒すこと、それは簡単なことでしょうか。
 コミュニケーションの能力においてコトバの意味だけをとらえるのは全体の7%だときいたことがあります。
 残りのすべてはその声の調子や態度で判断するのだそうです。
 わたしたちは傷ついています。それがポエムによってかポエムじゃないものによってかに差異はありません。
 わたしたちは癒されています。そのスタンスのコンポジションによってそれがきまるのです。
 ご協力ありがとうございました モリマサ公でした」



2004/11/8
/日本語で伝える ヒガイシャとしての大事なヒトコト カガイシャとしての大事なヒトコト
/(コミュニケーションとしてのポエム)







2004年11月/ベンズカフェにて


自由詩 今すぐ要求をのまなければ人質は死ぬ/2004 Copyright モリマサ公 2005-12-22 15:04:32
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