世界の果ての公孫樹の樹
ジム・プリマス

三千年の時を経た公孫樹の雄木が
銀の葉を降らせる
銀の葉を降らせる
銀の葉は薄く鋭く尖り
銀の葉は優雅に旋回しながら
荒涼の野に振る

三千年の時を経た公孫樹の雌木が
金の実を落とす
金の実を落とす
金の実は太く鈍く光り
金の実は気まぐれな時雨のように
荒涼の野に振る

この世界の果てを探して
さまよい続けた旅人は
荒涼の野にたどりつき
神々の黄昏に照らされた
その光景を見て
みんな黙り口を噤む

あさはかなものたちは
銀の葉
金の実
銀の葉
金の実
と口々に

旅人は風に吹かれて
旋回する銀の葉が
身体にどんな傷を
つけるのか
知っている

旅人は時雨のように
降りしきる金の実を
目の前にしたとき
人が何をするか
知っている

世界は
不秩序で
不完全で
なにより
無慈悲だということを
あさはかなものたちは
分かろうとはしない

三千年の時を経た公孫樹の雄木
三千年の時を経た公孫樹の雌木








世界の果てには
そんな骸が累々と
そんな骸が累々と


自由詩 世界の果ての公孫樹の樹 Copyright ジム・プリマス 2005-12-22 10:55:14
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