センチメンタル・バーバ子
バーバ子

わたしは83歳の死に様
わたしは16歳の男女の戯れ

しぼんだらまたはえてくればいい何度でも夜空の隅から
肌いろの羊膜につつまれて
みつめあう魂は
互いを縫いつけるようにして泳いだ
暗黒の分子雲のなかで
老婆のわたしは秋夜の寒さを知っている

馬にまたがる若者の背に
日々の日光たちはさやぐ
旅にあけくれた
古い心のなかでだ
内皮の襞からふるえている
一夜の宴に
踊るたいまつの蔭で
夜空のうまみをたしかめている少女地面にみずみずしい
葉緑の根をはり
さしのべられた腕にそして肩のほうへといとど
巻きつく少女その宴ムーサイの叫び
野末へと
暴れる嵐が駆ける
先に両手
糸のように夜空の果ていずれの星へ
背中から体はほどけ繭のように夜空に巻きつき返るのだディディプリス
ディディプリスの粒子を浴びて育った
少女のわたしは星のシャワーをたのしむ


自由詩 センチメンタル・バーバ子 Copyright バーバ子 2005-12-22 05:07:21
notebook Home 戻る