夏の木漏れ日
奥津 強

夏の 木漏れ日 
日差しの中 塔婆 には
片目の 少女が
曲がりくねっている
モノクロ
ぐにゃりふなりと
渦を まき 泥が 撒かれ
そこから
首が 咲く 木漏れ日のような
花弁と 傲慢な 唇

ふと 見上げれば
海が 暗くなっている
ああ
あああ
小人が ふってくるのだな
夏の 木漏れ日

歪む国の 世界は
東京都の 電話帳で 出来ている

美しくない
美しくはない

だが 
夏の 木漏れ日は
冬に なり

春は 少女の モノクロの世界へと


自由詩 夏の木漏れ日 Copyright 奥津 強 2005-12-19 21:53:01
notebook Home 戻る