失くした一日

図書館は今日も
中身の無い棚ばかりで
全部で五冊ぐらいしか本が無かった
世の中を模して
広すぎるように建てられている

CDレンタルの店員は
僕がばらまいた小銭を
借りてきた笑顔で拾ってくれた
親切な人ばかりだ
自動ドアをすり抜けて逃げた

帰ろうとして
自転車の鍵が無かった
歩くしかなかった 
いろいろと置き去りにしてきた気がするけれど
気にしても仕方が無い


部屋の中
似合わないマグカップで
ミルクティーを飲んだ
甘ったるく
よく冷えていた


ふと
今日の意味を知りたくなった
こんな時に限って
電子辞書は電池が切れている

仕方なく
風呂に入ろうと服を脱いだら
自転車の鍵が落ちて
その後はどれだけ探しても見つからなかった


自由詩 失くした一日 Copyright  2005-12-17 00:45:26
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