硝子皿の上
士狼(銀)
月の咲く頃、青鷺が溺れた
川辺の彼岸花のように 恋に焦がれた
ひらがなの響きで、わたしを呼ぶ あの人
辛辣な言葉を並べるくせに
どうして時々 柔らかく、呼ぶ の
青い紙で鶴を折って、
『深夜2時に羽を開く青鷺だ』
と わたしの掌に
乗せて、笑った
あの人がくれた真黒黒助の傍で
ハートの硝子皿の 上
青鷺は、今宵も羽を折りたたむ
秘密、
きっと宵闇しか知らないでしょう
夜毎わたしの指先で
青鷺が何度も 何度も、生まれ変わることを
掌に、 閉じ込めておきたいの
そうでもしないと
月の咲く頃、飛び立ってしまいそうで
この文書は以下の文書グループに登録されています。
獣化