硝子皿の上
士狼(銀)

月の咲く頃、青鷺が溺れた
川辺の彼岸花のように 恋に焦がれた

ひらがなの響きで、わたしを呼ぶ あの人
辛辣な言葉を並べるくせに
どうして時々 柔らかく、呼ぶ の

青い紙で鶴を折って、
『深夜2時に羽を開く青鷺だ』
と わたしの掌に
乗せて、笑った

あの人がくれた真黒黒助マックロクロスケの傍で
ハートの硝子皿の 上
青鷺は、今宵も羽を折りたたむ

秘密、
きっと宵闇しか知らないでしょう
夜毎わたしの指先で
青鷺が何度も 何度も、生まれ変わることを

掌に、 閉じ込めておきたいの
そうでもしないと
月の咲く頃、飛び立ってしまいそうで



自由詩 硝子皿の上 Copyright 士狼(銀) 2005-12-16 21:26:50
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