ノート(町)
木立 悟
朝の影がのびてゆく
誰かが手放した
結晶のかたちをした風船が
小さな鳥たちに囲まれ
森のほうへと流れてゆく
町をかがやかせる
なめらかな人工
昼から夜へと動く波
隙間の無い町のなかを
造られた午後にまみれて
波は億の光にこだまする
フェンスに囲まれたテニスコート
フェンスに囲まれたモータープール
フェンスに挟まれた家と道の間で
幾人かの子供が空を見つめている
飛び去る風船の光を見つめている
無数の答えだけがそびえ立つ
問うものの無い町のはずれで
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