幽霊じゃない
プテラノドン

私たちは死ぬまで生き続ける。
幽霊は死に続ける。いつまで?

さまよえる幽霊が躓いた。その幽霊は
浮いているはずじゃなかったの?と、
困惑した表情。悲しいのかもしれない。
死んでいるのに?そりゃそうさ。
皿を数える幽霊だっているはなし。
じゃあお前は何するの、と訊くと
俺?リフティング!と、人気のない公園通りで
リフティングを始める少年の幽霊。
1、2、3と気を利かせて数えてやる。
けれどボールを落とすたびに―、どうやら
彼は素人同然で、みるからに年下のくせに
「参っちゃうよなぁ!ガキに邪魔されると。」
とか言いがかりをつける、そうかと思えば
スパイクシューズのぎざぎざである俺を理解しろとか、
最近あの娘とうまくやっているのかとか、聞いた後に
「俺、新しいスパイクシューズが欲しいんだ。」と、
ぼくの肩を叩くと消えてしまった。残されていた
サッカーボールをドリブルしながら帰ったぼくは
知らない家の庭に蹴り入れた。
 次の日、弟の墓前に置かれていた
スパイクシューズをひっくり返すと、
靴底のポイントは全部削れてまっ平ら。
僕は新品のスパイクシューズを置いて帰った。


自由詩 幽霊じゃない Copyright プテラノドン 2005-12-13 21:21:53
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